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年報Lingua巻頭言/2008

(研究室年報「LINGUA」2008の巻頭言から)

今年も春から大勢のメンバーの出入りがありました.課程修了者は,博士前期 課程11名,博士後期課程1名でしたが,3名の博士後期課程指導認定退学者の中 から阿部君とNichols君には研究員として引き続き研究室に残ってもらうことに なりました.また,情報通信研究機構に支援いただく新たなプロジェクトの特 任助教として村上君,松吉君に加わっていただくことになりました.同じく4月 から,ナポリ東洋大学で日本語のテンス・アスペクトの研究をされていた Patrizia Zottiさんを尚友倶楽部の支援を得て研究員として受け入れました. 海外からの研究員としては,その後11 月末からFrancisco Hiram Calvoさんが 学術振興会外国人特別研究員として2年間の予定で滞在されることになりました. 4月の新入生は,後期課程への進学2 名と前期課程入学者4名(後に秋入学1名)と 大変少なかったのですが,特別研究学生のお二人と新しい技術補佐員の方々に も来ていただいたため,研究室の居室があるA棟7階のスペース以外に,同棟2階 に研究員室,ベンチャーラボ棟に作業室を大学から借り受けました.3月末で秘 書の大川さんが退職されることになりました.おめでたい退職なので喜ばしく 思いつつも,娘を取られた父親のような心境でした.6年間,研究室が徐々に大 きくなっていく時期の事務を一手に引き受けて頑張ってくれたことに感謝して います.4月からは,それまで技術補佐員として来ていただいていた北川さんに 秘書の仕事を引き受けていただくことになりました.特任助教の飯田君が,12 月に東京工業大学の徳永健伸先生の研究室の助教として栄転しました.博士前 期課程から6年半,大活躍してくれていたのを認められて選んでいただいたのは 大変嬉しいことです.今後も益々活躍されることを期待しています.

今年は,IJCNLP (International Joint Conference on Natural Language Processing) が1月という変則的な時期に開催されたのですが,驚いたというか 嬉しいことに本会議とワークショップに投稿していた論文がすべて採録され, 大勢でHyderabad で行きました.年度末近くで予算が消化気味の大変な時でし たが,幸い本学の大学院教育改革支援プログラムから学生海外派遣の支援を得 て事なきを得ました(http://isw3.naist.jp/IGSE/International.html にこの派遣制度の詳細があります).松本は会 場内の宿泊施設に泊まったので,毎日昼夜,同じ場所でカレーの連続でしたが, 毎回内容が異なり,飽きることなく過ごすことができました.インドの料理は 他の出席者にも好評でした.研究室メンバーにはカレー好きが多く,今年は特 に毎週金曜日に本格的なカレー作りを行うカレー部が誕生しました.今年から の試みとして,夜に主要な会議の論文をまとめて紹介するACL読み会,ICML読み 会,EMNLP読み会などが企画されたのですが,これをカレー部と共催しました. 毎年夏休みに行っている夏の集中勉強会とSVM勉強会の懇親会もカレー部に依頼 しました.

3月の言語処理学会の大会での発表に対して,小町君が最優秀発表賞,岩立君が 優秀発表賞をいただくことになりました.学生の間にこのような賞をいただく ことは,彼らにとって大変励みになると思います.6月の人工知能学会の大会で, 松本が人工知能学会の2007年度業績賞をいただくことになりました.昔の同僚 であり先輩である辻井潤一先生,佐藤泰介先生と同時にいただいたのも大変嬉 しいことでした.このような賞がいただけたのは,何人もの方々が推薦してく ださった結果であり,期待に応えるよう頑張らねばという気持ちを強くしまし た.8月のCOLINGとCoNLLにも多くのメンバーが参加しました.英国では長い間 自然言語処理関係の大きな会議がなかったこともあり,松本にとっても久しぶ りの英国でした.そのうちに食べようと思っていたFish-and-Chipsが,最後の 夜のレストランで品切れだったのが痛恨でした.

2008年の研究室の活動費については,国立大学法人運営費交付金,文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究×2,基盤研究(B)×1,若手研究 (B)×2,特別研究員奨励費×2),文部科学省統合データベースプ ロジェクト,情報通信研究機構(NiCT)から援助をいただきました.また,ニフ ティ(株),松下電器産業(株),(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)より様々な形で援助をいただきました.関係者各位に感謝します.

皆様からのご支援,ご鞭撻に感謝するとともに,これまで通り,研究室の活動 について忌憚のないご意見をいただければ幸いです.

最後に,本年報の編集作業に当たってくれた学生諸氏にこの場を借りて感謝 します.

2009年3月1日
松本裕治