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年報Lingua巻頭言/2014

(研究室年報「Lingua」2014の巻頭言から)

今年の一番の出来事は,4月にNTT-CS研から進藤裕之君を新しい助教に迎えたことです.着任早々Parsing勉強会を主宰し,沢山の学生の指導をしてもらっています.すでに若くしてすばらしい業績を挙げた新進気鋭の研究者ですが,今後の益々の活躍に期待しています.同じく4月には,本学の研究力強化事業の一環として,東藍君をフルタイムの博士研究員として採用しました.

新年度の学生として,博士前期課程には,春に10名,秋に優先配置枠の留学生 1名を迎えました.博士後期課程には,春に内部進学者5名と外部からの入学者 1名,秋に優先配置枠の留学生1名を迎えました.また,研究生,特別研究学生 として4名の学生が海外の大学から我々の研究室に滞在してくれています.多くの学生に集まってもらえることは本当にありがたいことです.春からは博士後期課程3年の近藤君と劉君がシアトルのMicrosoft Researchに長期インターンシップに受け入れられ,それぞれ延べ半年ほどの在外経験をすることができました.

本年は,修了生の吉川君と西川君の論文が,言語処理学会から2013年度の優秀論文賞と最優秀論文賞を授与され,また,飯田君の論文が,同学会の20周年記念論文賞に選ばれるなど,修了生の在学時の活躍に光が当たり誇らしいことでしたが,在学生については,国際会議発表でもあまり目立った成果を挙げることができず,指導者として反省する年になりました.いくつかの研究プロジェクトや共同研究が同時に終了した年でもあり,充電期間と考えることにしました.4月からは,新しい科研費のプロジェクトや学内のビッグデータ関係の融合研究(代表中村哲教授)が開始され,新たな研究をスタートさせた年になりました.

松本は,本年度は研究科主任として就職担当教授となり,昨年度後半から本年 度にかけて,時間的にも精神的にもきつい時間を過ごしました.多くの学生が 順調な就職内定を勝ち取ってくれましたが,暮れまで内定が決まらずハラハラ するケースもありました.学会活動としては,2015年に北京で開催されるACLとIJCNLPのjoint conferenceのGeneral Chairに昨年秋に任命され,さぼりながらも精神的に辛い時期を過ごしています.旧GCのDekang LinやDaniel Marcuに,有能なChair達を選ぶことが肝心とアドバイスを受け,PC ChairはじめChair達を選ぶことには注力したため,順調に準備が進んでおり,Long paperの投稿件数も前回を上回ったようで胸をなでおろしています.皆さん是非ACL-IJCNLP-2015にご参加下さい.また,今年夏には2016年に大阪で開催されるCOLINGのProgram Committee Co-Chairに任命され,本年度はまだあまり仕事がありませんが,COLINGをACLとはまた違った特色のある会議にするにはどのようにすればよいか,考えなければならない立場になりました.皆さんからの意見をいただけると大変ありがたいと思います.

2014年の研究室の活動費については,国立大学法人運営費交付金,奈良先端大(多元ビッグデータ解析に基づく知の創出研究拠点事業),文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A),基盤研究(B),若手研究(B),特別研究員奨励費3件), 情報通信研究機構(NiCT),国立国語研究所,NTT-コミュニケーション科学基礎研究者から,様々な形での支援をいただきました.また,マイクロソフトリサーチCORE連携研究プログラムによる支援をいただきました.関係者各位に深く感謝します.

最後に,本年報の編集作業に当たってくれた学生諸氏にこの場を借りて感謝し ます.

2015年3月8日
松本裕治