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年報Lingua巻頭言/2007

(研究室年報「LINGUA」2007の巻頭言から)

今年の3月には,博士後期課程3名,前期課程9名と大勢の修了生を出しました. 修了生の中から,後期課程では飯田君が,前期課程では小町君がNAIST最優秀 学生に選ばれました.彼らの活躍からすると順当と思いつつも,前期・後期課 程の同時(アベック)受賞は快挙でした.飯田君は,さらに,1月のNL研での発 表に山下記念研究賞を,3月の言語処理学会での発表に優秀発表賞をいただく など,昨年から受賞続きの大活躍でした.他にも,5月のNL研とSLP研の合同研 究会の学生セッションで鄭君が学生奨励賞を受賞しました.松本も10月にIPA から日本OSS貢献者賞をいただきました.これは,Open Source Softwareの普 及に関する貢献に対して与えられるもので,茶筌などのオープンな自然言語解 析システムの開発活動を評価していただきました.直接手を動かした開発者 ではなく,その旗振り役としての立場の者に与えるという意味で変則的な授賞 だったそうです.この賞は自然言語解析システムの開発にかかわった多くの修 了生,スタッフ,在学生のものであり,彼らには本当に感謝しています.これ からの学生諸君にも,オープンな言語処理ツールの開発にかかわり,自分が作っ たソフトを使ってもらえることの喜びを味わう経験をしてほしいと思います.

4月には,前期課程4名,後期課程6名,研究生1名が研究室に配属されました. 前期課程の新入生の数がこれまでで最も少なかった時と同数だったのですが, 秋に新たに前期課程3名を迎え,結局は例年と同様の人数になりました.秋に は,他に,博士後期課程に転研究室者1名,入学者1名,さらに,研究生2名を 加え,昨年度がピークと思っていた学生数がさらに増えて,史上最大になりま した.前年の秋に行った模様替えのおかげで何とか学生全員が学生室に納まっ ているという状況ですが,技術補佐員の方々のスペースが苦しくなったので, 2階の共同利用室(A202)を研究科から借りることにしました.以前,海外から の滞在研究員の居室として共同利用室を借りて以来の分室となりました.

スタッフについても増員がありました.科研費と企業とのプロジェクト経費を 使って,4月に飯田龍君と原一夫君をそれぞれ特任助教,研究員として残って もらいました.このような外部資金による研究者雇用は研究室としては初めて の試みでした.スタッフに関する話としては,他大学と同様,4月から,これ までの助教授と助手という呼称が,准教授,助教という名前に変わりました. これまで我が大学で使っていたassociate professor,assistant professorと いう英語の呼称と対応が取れたことになります.助教は思い切って助教授にし てほしかったところです.

海外への長期滞在も多くのメンバーが経験しました.新保君がLouvain Catholic大学に,飯田君がSussex 大学に,渡邉君がNew York大学に,小町君 がSeattleのMicrosoft Researchに,それぞれ数ヶ月間滞在しました.

松本には,4月から副研究科長という役職が突然降って来て,青天のへきれき でした.この役職には情報科学センター長というおまけが付いてくることになっ ており,何やら大変なことになりました.副研究科長として初めての仕事とい えるグローバルCOEへの応募は,ヒアリング止まりでうまく行きませんでした が,博士後期課程の学生への経済支援は何とか続けていくことにしました.負 け惜しみに聞こえると思いますが,健全な姿に戻ったような気がしています.

2007年の研究室の活動費については,国立大学法人運営費交付金,文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究×2,基盤研究(B)×2,若手研究 (B)×2,基盤研究(A)(分担)),文部科学省統合データベースプロジェク トから援助をいただきました.また,ニフティ(株),日本電気(株),松下電器 産業(株),コニカミノルタ(株),(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)より様々な形で援助をいただきました.関係者各位に感謝します.

皆様からのご支援,ご鞭撻に感謝するとともに,これまで通り,研究室の活動 について忌憚のないご意見をいただければ幸いです.

最後に,本年報の編集作業に当たってくれた学生諸氏にこの場を借りて感謝 します.

2008年3月5日
松本裕治