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年報Lingua巻頭言/2009

(研究室年報「LINGUA」2009の巻頭言から)

 年報のこのまえがきを書く度に研究室メンバーが増えたと書いている気がします.これまでは,会社や研究所に在籍のまま博士後期課程へ入学した方も含めての総数を考えることが多かったのですが,今年は研究室に常駐する純粋の学生数が最高になったのではないかと思います.海外からの研究員と留学生の数も総数で10名を越えるまでになりました.春入学と秋入学を含め,博士前期課程に11名,博士後期課程に7名の入進学者を迎えました.秋には,新しい研究生として中国から羅さんを迎えました.

 春先には,准教授の乾健太郎さんが年度末で移動する可能性がわかり,その後の研究室体制へ向けて,色々と考えることの多い年になりました.研究科としても,本学創設時に中堅の教授として研究科を支えて来られた方々数名が今後2〜4年で次々に定年を迎えられるという事実があり,研究科の将来の体制をどうするかについても考えねばならない年でした.

 松本にとって最も衝撃が大きかったことは,7月に田中穂積先生がお亡くなりになったことでした.研究者として一から仕込んでいただいただけでなく,松本の人生にとって一番影響を与えていただいた人を失ってしまいました.12月には鳥取大学の池原先生がご逝去され,日本の自然言語処理は,今年大きな星を2つ失ったことになります.お二方の先生のご冥福を心よりお祈りします.

 2009年の研究室の活動費については,国立大学法人運営費交付金,特別教育研究経費(アンビエント環境知能研究創設事業),文部科学省科学研究費補助金(特定領域研究×2,基盤研究(B)×1,基盤研究(C)×1,若手研究(B)×2、特別研究員奨励費×2),文部科学省統合データベースプロジェクト,情報通信研究機構(NiCT)から援助をいただきました.また,ニフティ(株),ヤフー(株),(株)NTTデータ,(株)富士通研究所,Microsoft Research Asia,ソネットエンターテインメント(株)より様々な形で援助をいただきました.関係者各位に感謝します.

 皆様からのご支援,ご鞭撻に感謝するとともに,これまで通り,研究室の活動について忌憚のないご意見をいただければ幸いです.

 今年(2010年)3月には,長年助教授・准教授として研究室の学生に丁寧な指導をしていただき,大活躍して下さった乾健太郎さんが東北大学の教授として栄転されました.4月には渡邉陽太郎君が助教として,Eric Nichols君が研究員として,また,井之上直也君と水野淳太君がそれぞれ博士後期課程学生,特別研究学生(奈良先端に博士後期課程学生として在籍のまま)として乾さんの元でお世話になることになりました.本研究室では,4月から新保仁さんを准教授に,小町守君を助教に採用しました.皆さんの,新しい場所,立場での活躍を心より祈ります.

 年度末から年度始めにかけて色々なことがあり,今年は年報の整理が大変遅くなってしまいましたが,その責任のほとんどは松本にあります.

 最後に,本年報の編集作業に当たってくれた学生諸氏にこの場を借りて感謝します.

2010年5月25日
松本裕治