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年報Lingua巻頭言/2013

(研究室年報「Lingua」2013の巻頭言から)

 3月末をもって小町助教が転出し,首都大学東京の准教授に昇任しました.学生時代から8年間,自らの研究による貢献はもとより,学生へのきめ細かな指導や研究態度によって後輩,同輩,我々スタッフにも大きな影響を与えて下さいました.首都大では独立した研究室を構えるとのことで,松本としてはまた新たな分家ができた気分です.新しい環境で独自性を活かし,学生指導と研究に活躍されることを祈ります.

 4月1日は,本学情報科学研究科が初めて博士前期課程学生の受け入れを開始(1993年4月)してちょうど20年ということになりました.研究室も1期生を受け入れ後20周年ということです.2013年の年が明けてから準備を始めるという状況でバタバタでしたが,4月27日(土)に,研究室の20周年記念講演会という形で午前から丸一日,現旧教員や各世代の修了生による講演会と夕方に懇親会を学内で開催しました.修了生の約半数にあたる80名ほどの皆さんが駆けつけて下さり,在籍者と合わせて120名ほどの大変盛況な会となりました.出席はできなかった多くの皆さんからもメッセージをいただき,大変ありがたく,楽しい時を過ごすことができました.次は松本が退任の時かと思うと少々寂しく感じますが,どのようなメンバーが増え,皆がどのように育っているかと思うと今から楽しみでもあります.

 4月には,11名の博士前期課程学生(連携講座配属生2名を含む)と,内部進学生4名を含む5名の博士後期課程を迎えました.4年連続で2桁の博士前期学生を受け入れ,NAIST内でも大きな研究室として定着しました.研究室のスペース問題を解消するため,当年度空き家となっていたA棟5階の学生室と一部の個室を借用し,10名ほどの学生諸君に席を移動してもらいました.現在不在になっている教授ポストが埋まるまでの暫定処置なので,いずれまた居室のスペース問題に対応しなければなりません.

 新人を対象にした自然言語処理の基礎勉強会と離散数学勉強会を毎年開いていますが,離散数学の本を再び改めました.これらの研究室内の勉強会が2013年度から研究室の特論として必修科目になり,月曜と水曜の午前に開講されることになりました.研究室としては,初めての午前の勉強会ということになります.1回90分のコマのはずですが,途中からは遅れを取り戻すため,毎回2コマ3時間を取って,熱心に進めてくれたようです.

 松本は,2年間務めた副学長と総合情報基盤センター長の任を解かれ,自由時間が増えた筈でしたが,それも束の間で,担当していた研究業績データベースシステムの目途がつくまで責任を持たねばならず,自業自得ながらなかなか自由の身になりませんでした.そのうちに来年度からの専攻長が回って来て秋からは早速企業からの採用担当者との面談が必要になり,時間がとられるとともに,あらためて就職活動の早期化を実感しました.採用活動は卒業・修了の目途がたってからにすべきだし,その方がずっと効率よいと思うのですが,この非効率がいつまでたっても改善されないのは本当に不思議です.

 2013年の研究室の活動費については,国立大学法人運営費交付金,特別教育研究経費(アンビエント環境知能研究創設事業),文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A),基盤研究(B),研究活動スタート支援,特別研究員奨励費4件),情報通信研究機構(NiCT)から援助をいただきました.国立国語研究所からは共同研究プロジェクトでの支援をいただきました.また,Microsoft ResearchCoreプロジェクトによる支援をいただきました.関係者各位に深く感謝します.

 最後に,本年報の編集作業に当たってくれた学生諸氏にこの場を借りて感謝します.

2014年3月6日
松本裕治