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年報Lingua巻頭言/2012

(研究室年報「LINGUA」2012の巻頭言から)

 1月1日付けで国立国語研究所コーパス開発センターの特任准教授として転出した浅原君の後任として,Kevin Duh君が3月1日付けで助教として着任しました.CJE勉強会をCJE++勉強会として拡張し,そして,MT(機械翻訳)勉強会を中村研究室と合同で主宰し,勉強会以外にも様々な新しい試みを提案して工夫し,多くの学生の指導に活躍していただきました.

 4月には,11名の博士前期課程学生(連携講座配属生1名を含む)と,内部進学生3名を含む4名の博士後期課程を迎えました.3年連続で2桁の博士前期学生を受け入れることになり,大変賑やかな研究室になりました.

 新人を対象にした自然言語処理の基礎勉強会と離散数学勉強会を毎年開いていますが,今春はその教科書を久しぶりに同時に変更しました.新しい本のためペース配分が未知のまま勉強会を始めたわけですが,進行の遅れを取り戻すために,7月の入試に伴う講義休止期間中に朝から夕方まで臨時の勉強会を自主的に開くなど,今年の新人の熱心さにとても感心しました.

 通常の勉強会についても,今年は5つの勉強会がバランスの取れたメンバー構成で,それぞれの担当のスタッフが,大変活発に運営してくれました.松本は,昨年から拝命した副学長と総合情報基盤センター長にからむ会議や雑用で今年も時間を取られがちでしたが,その松本を横目に,どの勉強会も大変うまく機能してくれたと思います.3月末の学長の任期に伴う執行部の入れ替えにより,これらの役職も今年度限りなので,来年度からは,より多くの時間を研究室の活動にあてることができると楽しみにしています.

 奈良先端大にとって今年最大のニュースは,1999年から5年間本学バイオサイエンス研究科に勤められていた山中伸弥さんのノーベル生理学・医学賞の受賞です.昨年度の本学の創立20周年記念式典で講演していただいたのですが,そのちょうど1年後ということで,大変嬉しい知らせでした.

 大学の設立日は実際の学生受け入れより1年半前だったので,学生を受け入れて活動を開始した日から数えると,今年が20年目であり,今年のM1が情報科学研究科の20期生ということになります.自然言語処理の世界も20年の間に随分変化がありました.この20年間に自分は何を残してきたか,またこれから何を残せるのかを考える年でもありました.

 2012年の研究室の活動費については,国立大学法人運営費交付金,特別教育研究経費(アンビエント環境知能研究創設事業),文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A),基盤研究(B),若手研究(B),研究活動スタート支援,特別研究員奨励費),情報通信研究機構(NiCT)から援助をいただきました.国立国語研究所からは共同研究プロジェクトでの支援をいただきました.また,財団法人テレコム先端技術研究支援センターSCAT研究費助成,Microsoft Research Coreプロジェクト,KDDI研究所,NTTコミュニケーション科学基礎研究所,キヤノンITソリューションズ(株)より様々な形で援助をいただきました.関係者各位に深く感謝します.

 最後に,本年報の編集作業に当たってくれた学生諸氏にこの場を借りて感謝します.

2013年3月10日
松本裕治